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雑記

昔のCWを聞き直してみたら・・・

2007/04/01

小生、オープンテープを多数保有しておりますが、もう今の時代ではオープンデッキで録音するということはなくなりました。だいたいがデジタル録音ですね。デジタルなら、機械も小型で長時間の録音ができます。対するオープンテープの録音は、大きくて重いデッキを使う。昔の猛者は、このバカ重いデッキを担いで山々に入り、小鳥の声なぞ録音したものです。・・・小生は、山々には行かなかったけれど、種々の録音はやっておりました。まぁご多分に漏れずのエアチェック。ちなみに、7エリアですから1エリアよりはちょっと遅れた時間の流れだったとは思いますがどういう時代かといえば、NHKのFM放送は実験局の放送が始まったころ以来。土曜日の午後にのんびりとしたローカル局のリクエスト番組がある、といった感じを思い浮かべていただければよろしい。その番組のなかにクイズコーナーがあって、回答のはがきをせっせと出したものです。正解者が7人、当選者が5人、これで外れたことがちょっとした自慢(?)。

いえいえ、FM放送の黎明期の話をするのではないんでした。で、まぁそんな背景があって、第一の趣味としてのCWがありますから、当然、自らのCW交信も録音するし、タヌキワッチでも録音する。エアチェックの延長線上ですかね。どっちが延長線上かわかりませんが。このCWを録音したテープが大量にあるわけです。

そういった時代もいつしか遠い彼方へ過ぎ去り、CWの交信をする機会もずいぶんと減り(トホホ)、いつの間にかCW−QSOを録音しておく、という発想が欠落しておりました。そうこうしているうちにデジタル時代。オープンデッキも何度かの引っ越しのどさくさで(行方不明にこそなりませんでしたが)押し入れの奥に追いやられておりました。ここにきて、いよいよオープンテープの時代もこれまでか、と(一部の熱心な方々の中ではまだまだ熱い支持を得ていることは承知しておりますが・・・)観念し、大量に保有するテープのデジタル化を思いついた、という次第。ところが、肝心のデッキが、引っ越しの移動のショックでか、いつの間にか故障しておりました。修理を頼むも、もう古すぎて修理不能。しょうがないので(ここがデジタル時代の、というかインターネット時代の御利益ですね)ネットで検索して、中古品のデッキをインターネットオークションで入手。もしかしたら修理してもらうより安い買い物だったかもしれません。

さぁ、オープンテープのデジタル化作業が始まりました。

こんなこと(ホームページ開設してる、とか・・・)やってるので、当然、パソコンは持っているわけです。しかも何台か。一度に何台も買うわけではありませんが、やはり使い込んでいくうちに、新しい高性能なものを買い足して古いやつはサブ機になり、もろもろの作業分担をさせられるようになっていくわけです。デジタル化作業もそんな仕事。サブ機の出番です。時々は、メイン機で介入して、何やってるかチェックはします。

メイン機は、それこそ、いろいろ仕事してます。曲がかかれば曲名を拾ってきたり、トーン信号が入ればデータ変換して表示させてみたり。おまけで、いちおうCW解読器も常時稼働していたりして。これないしょ。ネ。

で、まぁそんな環境で、古いCWテープをデジタル化させておりました。内緒とはいいながら、ここからがメインの話。CWのサウンド、ツートツートが聞こえ、それが文字になって画面に表示されていくのをBGMならぬBGV的に眺めながら作業を進めていきます。

BGV的だから、画面を凝視しているわけではありません。なんとなく、耳に入るCWサウンドと画面とを眺めて比べつつ、フムフムと言いつつ、その昔の自らのQSOの恥ずかしい場面を思い出して苦笑したり、あるいはすっかり忘れていたお話の内容を突然思い出したり。

それやこれやで何となく画面を眺めていると、あれれ??ツートツートの文字列じゃない文字列が表示されています。え?何?・・・画面の文字は、数字だけになってしまいました。普通のQSOのはずでした。ラバースタンプQSO。CQCQ・・から始まって、標準的な流れで、RSTを送ったり、QTHやらハンドルやら、RIGの紹介もあり、まぁ特に内容としてはごく当たり前の内容のはずでした。ところが画面には数字の並び。・・・しかも、5文字ずつきれいに並んでいます。CW解読ソフトがトチ狂ったか?と思い、そのQSOじゃない別のQSOのテープをかけてみると、これは問題なし、というか、普通のQSOの内容が表示されていきます。さっきの数字だけ表示されるテープをかけてみると、やはり数字だけ。

どうやら数字として認識するようです。でも耳で聞くと普通のQSO。

あれ?と、そのとき気がつきました。数字は数字でも、CWトーンの一文字の最初の出だしで、もう数字が表示されています。はて? テープを止めると、確かに数字の表示は止まるので、このテープを(パソコンのソフトが)聞いて数字として読み取っているのです。変です。なぜだろうとしばし考えました。

他のQSOと、何が違うのか。・・・・違うと言えばキークリックがちょっと多めかな?と言う気がしてきました。

気がついたことは気になるものです。そこで、さっそくデジタル化したばかりのこのQSOのサウンドデータを調べてみることにしました。

デジタル化すると、けっこう波形レベルまでいじることができます。オープンテープの時代、音楽編集などはテープを切り刻んでつなげてやっていたそうです。・・・小生はそこまでやったことはありません。でもデジタルデータになってしまうと、タイミングを合わせて合成するどころか、波形のどの電圧のところで切り替えるかまで、自由自在です。何を隠そう、アナログレコードに傷がついてエンドレス状態になり先に進まない重傷になったレコードがありました。しかも気に入っているレコードだったので、デジタル化して先に進まないレコードを、そおっと柔らかいブラシの先でアームを押して先に進め、エンドレスの部分はデジタルカットして編集し、無事復元させたことがあります。こんな作業は、画面で時間軸を拡大していき、サンプリングデータの1本1本まで細かくいじって調整するのです。・・・まぁあまり細かくやると時間がいくらあっても足りないのでほどほどのところで妥協するのではありますが。

まぁそういった次第で、件のCWサウンドを、波形拡大してみました。

なんと!

キークリックだと思っていたところに、数字のCW符号が埋まっているではありませんか!!

偶然でしょうか。

それにしても、全部の波形の、しかも文字の頭の部分だけに見えるのです。「A」なら最初の短点の立ち上がりの部分だけにあり、次の長点の立ち上がりにはないのです。「U」と「V」「4」など短点が続いているものでも、最初の短点の立ち上がりの部分だけです。


一般的に、セミブレークイン式の送受切り替えだと、一文字の頭の部分だけ、受信から送信に切り替わって送信を始めるので、立ち上がりが若干遅れたりしがちです。その時間遅れが長いと、最初の短点が短くなったりして了解度が悪くなります。新しい機械では、立ち上がり時間そのものを早くするとともに、送信準備をさせてから最初のキーダウンを送信するように工夫されています。送信者へのエコーバックと、実際に電波で出るタイミングとが若干ずれている、というかずらした分だけ、最初の短点どころか、フルブレークインで文字内のマーク送信のたびごとに、そういった制御をするわけです。

しかし、このテープは1960年代後半。

そんな高度な制御、しかも時間軸上の細かいシフトを、アマチュアレベルでやっているとは思えません。

でも確かに数字のCWが、立ち上がりにだけ挟まっています。

この時のQSO相手は、記憶にはなかったのですが、紙の(!)ログで探したら、その後、コンテストで1,2度はQSOしています。別の時のQSOのテープが出てくれば、再確認ができるのですが、なにしろ膨大なテープコレクション。整理がいいかげんなもので、1本のテープに、ところかまわず後追い録音しているものだから、いつ何時、その目指す交信が出てくるか、皆目見当がつきません。


結局、数字が検出されたQSOは、いまのところこの1回だけです。


はたして数字が出てくるのは偶然なのでしょうか。それともなにか陰謀があって、HAMのQSOを装って、他国へ情報を送ろうとしていたのでしょうか。その数字はどんな意味があるのでしょうか。それとも何にも意味がないのでしょうか。時代が時代(1960年代の後半です・・・)なだけに、あれやこれや、誰が何のためになにをやっていても不思議じゃないような気がしてきました。


この局の別の機会の録音が出てきたらちょっと気合いを入れてチェックしてみます。出てくればの話ですが・・・


ちなみに、そのQSOは1968年4月1日のことでした。



by JA7FWT